パノラマ寓話

恣意セシル 文藝活動報告サイト

左胸の不協和音

   

その胸を開いて
何が詰まっているか 確かめたかった

僕の心臓の音と君の心臓の音
符合して和音になることなんてなくて
細い手首の内側がひくひくと震えるのを見ては
重ね合いたいと 切望した

ねえ どうしたら
どうしたら僕ら ふたり に なれたんだろう

繋ぎ目から絶望が滲み出る
僕だけが溜息をつき
僕だけが 思い知って

その胸に詰まっているのは
僕と似て非 なるもの

あたたかいそれを握りつぶす(真似事)
鮮やかな執着を食い散らかす(妄想)

僕は目を伏せる
君の唇が動き出すのを正視できずに

(お願いだから 拒絶しないで)

 - poem