左胸の不協和音
その胸を開いて
何が詰まっているか 確かめたかった
僕の心臓の音と君の心臓の音
符合して和音になることなんてなくて
細い手首の内側がひくひくと震えるのを見ては
重ね合いたいと 切望した
ねえ どうしたら
どうしたら僕ら ふたり に なれたんだろう
繋ぎ目から絶望が滲み出る
僕だけが溜息をつき
僕だけが 思い知って
その胸に詰まっているのは
僕と似て非 なるもの
あたたかいそれを握りつぶす(真似事)
鮮やかな執着を食い散らかす(妄想)
僕は目を伏せる
君の唇が動き出すのを正視できずに
(お願いだから 拒絶しないで)