パノラマ寓話

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あかり射す庭

   

その庭で 僕らは
抱き合う代わりに固く 固く
手を握り合っていた

朝焼けの頃に降り出した雨は
傘も差さずにいるふたりから体温を奪い続ける
莫迦みたいに空は明るくて
時々 白昼夢のような眩暈がする

(この雨があたしたちを溶かして
光になれたならいいのに)

耳鳴りにも似た 君の声

世界はこんなに光に溢れていて
まるで祝福を待っているようなのに
このあかり射す庭で僕らは
どうして絶望なんて持て余しているんだろう

僕らは光になれない
僕らはどこへもゆかれない
世界の真ん中
僕らはいつも 一人ぼっちだ

 - poem