パノラマ寓話

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冬の夜に

   

秋が呼吸を拒み、冬が明けた
硝子質の夜の底に星明りが反射する
手を伸ばせば届くような気がした
夜の底を 垣間見たような気がした

全ては傲慢な錯覚で
明けぬ夜がないのと同じように
夜を見通せるわけもないのに

目の前には暗闇の中 ほの白く横たわる天井があって
隣で眠る君からはいつも夜のにおいがする
明け方に目を覚ますといつも
あふれ出る夜に君がさらわれてしまったように思えて
強く強く 抱きしめてしまう

硝子質の夜の底 横たわるものはなんなんだろう
暗闇に目がくらむ
真実なんてひとつも見えない すくえない

ただ僕ができるのは君をここに繋ぎとめておくだけ
できるだけ君の体温を信じているだけ
早く夜が明けて 君の瞳の色を確かめたいと 願うだけ

 - poem