ひとのゆめ
虫ピンで留められたみたい なんて
綺麗すぎる喩えだろうか
薄暗がりの中で揺れる影を瞼の裏に仕舞う
ばらばらにならないよう 掻き抱く
瞬間 は こんなにも確かなのに
刹那 の 傷を残しあっという間に遠ざかる
ただ残像ばかりがいつまでも在って
小さな痣が鼓膜に染み付くばかり
許されないことに逃げ込まない
一度掴んだ手だ
簡単に手放してなんかやらない
儚い衝動を言い訳にしない
一度飲み干した心だ
そうやすやすと吐かない
この強すぎる想いを
熱すぎる肌の温度をを持て余しながら
壊さないよう 静かに口の中へ含むだけ