パノラマ寓話

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水はゆるく塞ぐ

   

冷たい水を飲むよりは生温い水を飲むほうが、体には良いらしい。
生ぬるい水を飲む事とつつがなく日々を終える事はきっと似ている。
潤う体、しかしそこには、妥協とか致し方ない理由が静かに息をしている。

あの日、あたしは飛び出しそうになった。
そこに生っている実は赤くてとても美味しそうだった。
それはゆるゆると熱い手を伸ばしてきた。
あたしはそれを必死で拒否した。

傷つけないように。

それだけが合言葉であり免罪符だ。
あたしは罪にまみれて、いつものように温い水を飲む。

 - poem