パノラマ寓話

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同じ心臓

   

ひとつの身体とひとつの身体
裸の胸を合わせて
「同じ心臓だ」
そう 嘯いた

繋いだ身体
皮膚が融けて交じり合えたらいいのに
きっとそれは叶わない
その理想から逆行して辿った答えがこの嘘なら
世界はなんて優しいんだろう

かみさまの声はいつまで待っても聴こえない
空に灯る月は悪趣味に僕らを暴こうとする

何もかもを光にさらして
互いの体温だけを信じて歩いていけたならいいね

深く息を吸って吐いて
寝入った君の呼吸に合わせる

ほら ふたりの鼓動が重なりだしたよ
これが僕らの正しい形
こうやって僕らはやっと完成する
ねえ、安心をして。

君の寝息を聞きながら
僕も深い眠りにつこう

同じ心臓 抱きしめながら

 - poem