パノラマ寓話

恣意セシル 文藝活動報告サイト

楽園

   

爪を
鍵穴の形に齧る

ひとりきりの楽園
どこにも行けない
完成されてしまった世界

対象を知らないまま
僕は横たわって
流れる雲をひとつずつ殺す

幾つこの手で殺せば
僕も自由になれるのだろう?

世界は孤独によって完成する
僕はそこに風穴を空けようと足掻いて
その度に絶望を増やしていく

こんな場所 僕から欲したことはないのに
こんな静けさの中 気が狂うこともできないで

 - poem