パノラマ寓話

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三千世界

      2017/02/04

稜線があかく燃えているから
君が傍にいない世界を終わりにしようと思う

雲までがあかく染まっているのに
空のてっぺんはすべてを研ぎ澄ませたみたいな青色で
遠い空の下 どこかで眠る君の
首筋を這う血管を思い出すよ

欲情した
いつ果てるとも知らぬ熱量で
君の一切を踏みにじってやろうとした

拒絶した
持てる一切を使って
君は僕から逃げ出したけど

三千世界を終わらせて
君を奪いに出かけよう
君の拒絶さえ糧にして
君のことだけ想ってる

朝と夜と朝と夜と朝と夜と
際限なく繰り返し
気が狂う手前で永遠に君を待ち呆けてた昨日が終わる

憎しみと暴力とが僕を覆い塗り潰してしまうとしても
いつかこの心が何かを取り違え 形を変えてしまったとしても
僕は君へ手を伸ばすことをやめない
諦めないとか 願うとか 祈るとか
そんなものより強く 強く 新しい今日を願って
君を匿う祝福など滅んでしまえばいいから

三千世界を終わらせて
君を奪いに出かけよう
三千世界を屠り尽くして
君のことだけ想ってる

三千世界を引き換えに
君のことだけ願ってる

 - poem