パノラマ寓話

恣意セシル 文藝活動報告サイト

白い背を暴く

   

指先が冷たい
いつかの朝 森の奥深くで交わす接吻のように

拭いきれない悲しみは背骨に溜まり
いつか美しい翼になるという
それが本当なら僕も
もう少しうまく微笑える気がした

知らない横顔を覗くように
馬鹿正直なほど正しく明ける空を迎え続けている
見えない傷のたくさんついたこの背中を
誰か美しいと言ってくれるだろうか
そうしてその爪先で そっと暴いてくれるだろうか

 - poem