パノラマ寓話

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夜明け前

   

目を開けた その先にあるのは
薄暗い夜の空気と白い天井
君の静かな寝息は
この星の呼吸と重なっている

君の胸に そっと耳をつける
暖かな鼓動があたしに安らぎを与え 響く

君に出逢うまでずっとずっと
夢ばかり見ているような顔で
夜明けから目を逸らして
動かない運命を呪って

青暗い悲しみを食んで
そうやって 生きてきた

今ここで
あたしは君を抱き締めている
夢から醒めた透明な瞳で
明けていく世界を見つめながら

 - poem