パノラマ寓話

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ゆめの後先

   

よく磨かれてまぶしい夜
赤黄緑の街灯もよく光って
宝石のように美しい夜

私は良く知らぬ男の腕の中
剥き出しのアスファルトに横たわっている
彼はまるで壊れ物のように ここへ閉じ込めるように
私を抱いている

その体温も肌の質感も未知のものなのに
どうしようもなく懐かしい
互いの 惨めなほどに痩せ細った身体を重ねて
柔らかくも優しくもないけれど
これ以上に親しく いとおしいものはないと感じる

他人事のように真っ直ぐ 強く
透明な心で静かに漂う 夜の煌めき
90°傾いた歩道橋の白さが目に刺さる

それは残酷だけど力を持った「ゆめ」
目覚めてから 少し 泣いた

どこまでひとり この世界を渡って往くのか
途方もなく連綿と続き広がる宇宙で
どうしてひとり 旅をするのか

いつまでも治らない擦り傷のような不安と手をつなぎ
健気に動き続ける心臓の鼓動だけを信じてここまで来た

けれど

束の間の愛 傷痕という名の温もり
鋭利な恋を道連れにして
死に場所を探すようにして
そうやって生きていけると 気付いた

たとえそれが紛い物でも
宝物のように抱き締められた夢を
あの夜の 現実ではない美しさを
私は今も くっきりと 憶えている

 - poem